青々とした草のような香り、果実を思わせる甘やかな香り、喉の奥に感じる心地よい辛味。オリーブオイルは、品種によって個性が驚くほど違います。30年以上オリーブオイルを使い続けてきた料理家・ジュニアオリーブオイルソムリエの安藤千英が、オリーブオイルの基本から選び方、料理への取り入れ方までをご紹介します。
オリーブオイルは、オリーブの果実から得られる油です。
サラダにかけたり、野菜を焼いたり、料理の仕上げにひと回し。毎日の食卓に、すっかりおなじみの存在になりました。
でも、オリーブオイルにもさまざまな品種があり、香りや味わいに違いがあることをご存じでしょうか。
青々とした草のような香り。果実を思わせる甘やかな香り。口に含んだときの苦味や、喉の奥に感じる心地よい辛味。
同じオリーブオイルでも、その個性は驚くほど違います。
オリーブオイルとは?
オリーブオイルは、オリーブの果実から採れる植物油です。
なかでもエクストラバージンオリーブオイルは、オリーブの果実から機械的・物理的な方法で得られ、一定の品質基準を満たしたオイルを指します。国際オリーブ協会(IOC)の基準では、酸度(オイルの劣化の目安)が0.8%以下で、専門の鑑定士による味と香りの審査で欠点がないことが条件です。
オリーブの実は、収穫したときから酸化が始まります。収穫から搾るまでの時間が短く、低い温度で搾るほど、香りが豊かで酸化の少ないオイルになります。
オリーブオイルの魅力は、脂質としての役割だけではありません。品種や産地、収穫時期、搾油方法などによって異なる、豊かな香りと味わいも魅力のひとつです。
料理に加えることで、食材の持ち味を引き立てたり、いつもの一皿に新しい表情を与えてくれます。
オリーブオイルに含まれる成分
- オレイン酸:オリーブオイルの脂肪酸の約7割を占める、酸化しにくい脂肪酸です。
- ポリフェノール:ヒドロキシチロソールやオレオカンタールなど。抗酸化作用があることが知られています。新鮮なエクストラバージンオリーブオイルを口に含んだときの、喉にピリッとくる辛味や苦味は、ポリフェノールによるものです。
- ビタミンE:抗酸化作用があることが知られています。
ポリフェノールやビタミンEは、搾ってからの時間や保存の仕方で少しずつ減っていきます。新鮮なうちに、生のまま使うのもおすすめです。
オリーブオイルは、品種によって味が違う
ワインの原料となるブドウにさまざまな品種があるように、オリーブにも多くの品種があります。
例えば、軽やかで穏やかな味わいのもの。青い果実やハーブを思わせる香りが強いもの。苦味や辛味がしっかり感じられるもの。
もちろん、同じ品種でも産地や収穫時期、製造方法によって風味は変わります。
だからこそ、オリーブオイルは食べ比べてみると面白いのです。
最初は違いがわからなくても大丈夫。小さな器に少しずつ注いで香りを比べたり、パンや野菜と合わせてみたり。自分の好きな味わいを見つけるところから始めてみてください。
私とオリーブオイルの出会い
私がオリーブオイルを使い始めたのは、今から30年ほど前のことです。
当時から、サラダはもちろん、炒めものなど日々の料理にもオリーブオイルを使っていました。料理家として活動を始めてからも、オリーブオイルはずっと身近な食材でした。
そんな私に、オリーブオイルの楽しみ方を大きく変える出会いがありました。
10年ほど前、東京へ出張したときのことです。立ち寄った百貨店の催事で、スペインのオリーブオイル「エル・ラブラドール」を紹介していた、当時のメディファーの社長と出会いました。
そこで勧めていただいたのが、品種ごとのオリーブオイルの試飲でした。
それまで長くオリーブオイルを使っていたのに、品種によってこれほど香りや味わいが違うことを、私はよく知らなかったのです。
実際に味わってみると、その違いがとても面白くて。オリーブオイルは、ただ料理に使う油ではなく、味や香りを楽しむ食材でもある。そんな新しい発見がありました。
それをきっかけに、私はエル・ラブラドールのオリーブオイルを使うようになりました。

私がピコリモンを選んだ理由
出会ってから、さっそくいくつかの品種を食べ比べてみました。
香りを確かめて、そのまま味わい、料理にも使ってみる。それぞれに個性があり、食材との組み合わせを考えるのも楽しい時間でした。
その中で、私が毎日の料理にいちばん使いやすいと感じたのが、ピコリモン種でした。
ピコリモンは、青い果実や新鮮な草を思わせる香りがあり、口当たりは比較的穏やか。ほどよい苦味と辛味のバランスが特徴です。
もちろん、これは私自身の好みでもあります。
料理に合わせて何種類ものオイルを使い分けるのも楽しいけれど、毎日の食事では、あれこれ迷わず手に取れる一本があると便利です。
野菜にも、パスタにも、温かい料理にも。食材の味を大切にしながら、自然に寄り添ってくれる。そんな使いやすさが、私にとってのピコリモンの魅力でした。
今でも、特別な料理を作るときには、食材や仕上がりに合わせて別の品種を選ぶことがあります。でも、日常の一本として選ぶなら、私はやはりピコリモンが好きです。

エル・ラブラドールの4つの品種
エル・ラブラドールは、スペイン・アンダルシア地方で6代、250年続く自家農園のオリーブオイルです。品種ごとに搾り分け、収穫から12時間以内に低温で搾っています。
ピコリモン|毎日の料理に、オールマイティに
アンダルシア地方の希少品種。酸度0.1%で、2011年には IOC マリオ・ソリナス国際オリーブオイルコンクールで金賞を受けています。青い果実や新鮮な草の香りで、口当たりはまろやか。軽い辛味と苦味が調和しています。サラダや温野菜、肉料理に。アイスクリームにも合います。
アルベキーナ|まろやかで、親しみやすい
りんごや青草、花を思わせる香り。マイルドで、ほのかな甘みがあります。豆腐やカルパッチョ、ヨーグルトや豆乳に。そのまま味わってもおいしい品種です。
ゴルダリージャ|フレッシュで、少し辛味のある珍しい品種
エル・ラブラドールが開発した品種で、日本ではあまり見かけません。フレッシュな果実や花の香りで、少し辛味があります。サラダやチーズ、魚料理、肉料理に。
マンサニージャ|オリーブの実そのものの、濃い味わい
オリーブの青い実やりんごの香りで、オリーブの濃い味が特徴です。アボカドとバナナのスムージーや、納豆にも合います。
選び方のポイント
- 「エクストラバージン」と表示されている
- 品種や産地が書かれている
- 収穫年や賞味期限が新しい
- 光を通しにくい色付きの瓶や缶に入っている
- 酸度が書かれていれば、低いもの
ローフードとオリーブオイル
私が教えているローフードでも、オリーブオイルはよく使う食材のひとつです。
生の野菜にオリーブオイルと塩を少し。それだけでも、野菜の香りや甘みが引き立ち、シンプルな一皿になります。
オリーブオイルには、脂溶性の栄養成分の吸収を助けるという面もあります。例えば、緑黄色野菜に含まれるカロテノイドは、油脂と一緒に食べることで吸収されやすくなることが知られています。
また、発酵調味料との組み合わせもおすすめです。塩麹や味噌にオリーブオイルを合わせれば、野菜をおいしく食べるためのドレッシングやソースが簡単に作れます。
ローフードも発酵も、難しく考える必要はありません。いつもの食材を、どう組み合わせるか。オリーブオイルは、その楽しみを広げてくれる存在だと思っています。

毎日の料理での使い方
生野菜やサラダに
オリーブオイルの香りを楽しみたいなら、まずはシンプルなサラダから。塩と少量のレモン果汁、オリーブオイルだけでも、十分おいしく仕上がります。
温かい料理の仕上げに
蒸した野菜やスープ、パスタに、食べる直前にひと回し。加熱せずに仕上げに使うことで、オイルの香りを感じやすくなります。
発酵調味料と合わせて
塩麹や味噌、発酵野菜などにオリーブオイルを合わせるのも、私の好きな使い方です。発酵の旨みとオイルの香りが重なることで、シンプルな料理にも奥行きが生まれます。
オリーブオイルのよくある質問
オリーブオイルは加熱しても大丈夫?
はい。オリーブオイルは加熱料理にも使用できます。ただし、過度な高温や長時間の加熱は避けましょう。香りを楽しみたいときは、仕上げに加えるのがおすすめです。
初めて買うなら、どんなオイルがおすすめ?
まずは、品質表示が明確なエクストラバージンオリーブオイルから。味わいは好みがありますが、最初の一本には苦味や辛味が強すぎない、バランスのよいタイプが使いやすいと思います。
オリーブオイルはどう保存する?
光・熱・空気を避け、温度変化の少ない冷暗所に保存します。コンロの横など、熱がこもる場所は避けてください。開封後はなるべく早く、1〜2か月を目安に使い切ると香りよく楽しめます。冷蔵庫に入れると白く固まりますが、常温に戻せば元に戻り、品質に問題はありません。
品種によって栄養も違う?
品種や栽培条件、収穫時期などによって、脂肪酸組成やポリフェノールなどの含有量に違いがあります。ただし、品種名だけで健康効果を判断することはできません。
自分の好きな一本を見つける
オリーブオイルを使い始めて30年以上。
私にとってオリーブオイルは、特別な健康食品というよりも、毎日の料理をおいしくしてくれる身近な食材です。
品種を知ると、選ぶ楽しみが増える。香りを知ると、料理との組み合わせがもっと面白くなる。そして、自分の好きな一本が見つかると、日々の料理が少し楽しくなります。
まずは、いつもの野菜にひと回し。そこからオリーブオイルの新しい楽しみ方を見つけていただけたら嬉しいです。
私が愛用しているオリーブオイル
私が長年愛用しているのは、スペイン・アンダルシア地方で作られている「エル・ラブラドール」のエクストラバージンオリーブオイルです。
品種ごとの個性を楽しめるのが魅力で、なかでも私のお気に入りはピコリモン種。
青い果実を思わせる爽やかな香りと、ほどよい苦味や辛味。野菜にも温かい料理にも合わせやすく、毎日の食卓で自然と手が伸びる一本です。
オリーブオイルを選ぶときは、ぜひ品種にも目を向けてみてください。
詳しく知りたい方へ
エル・ラブラドール|メディファー公式サイト
購入をご希望の方へ
エル・ラブラドール|楽天市場(ごっつお便)
エル・ラブラドール|Amazon
レシピ
エル・ラブラドールのオリーブオイルを使ったレシピは、メディファーの Instagram(@medifar.oliveoil)でもご紹介しています。
執筆:安藤千英|料理家・ジュニアオリーブオイルソムリエ
&LAB TOKYO 主宰。ローフードと発酵を軸に、食材の持ち味を生かす料理を提案。30年以上にわたりオリーブオイルを日常の料理に取り入れ、レシピ開発や食に関する執筆活動を行う。メディファー「エル・ラブラドール」のレシピ開発を担当しています。
※この記事は、メディファー「エル・ラブラドール」のレシピ開発を担当している料理家が書いています。また、楽天市場と Amazon へのリンクはアフィリエイトリンクです(リンクから購入されると、&LAB TOKYO に紹介料が支払われます)。

