リビングフードとは、生の食材と発酵食品など「生きた食べ物」を取り入れる食習慣。ローフード・ナチュラルハイジーンとの違いや、毎日の実践のポイントを &LAB TOKYO がわかりやすく解説します。
リビングフードとは?
リビングフード(Living Food)とは、「生きた栄養素や微生物が、そのまま活きている食べ物」を取り入れる食習慣のことです。加熱していない新鮮な野菜や果物、発芽させたスプラウトに加えて、味噌や麹、ぬか漬けのように、微生物が生きて働いている発酵食品も含まれます。
この考え方では、ローフードはリビングフードの一部に位置づけられます。
リビングフード = ローフード(加熱しない生の食べ物)+ 発酵食品(生きた微生物のはたらきによる食べ物)
「命ある食材を、命あるままにいただく」。こうした考え方は、古くから世界各地の伝統食や自然食の文化の中に息づいてきたものです。&LAB TOKYO では、日本の発酵文化と組み合わせることで、無理なく続けられる食べ方としてお伝えしています。

リビングフードの特徴
リビングフードのいちばんの特徴は、生きた食材をそのまま生かすこと。加熱を最小限に抑え、野菜や果物が本来持つ酵素・ビタミン・ミネラル・ファイトケミカル(植物由来の色素や香りの成分)を、壊さずに取り入れます。
1. 酵素を生かす「非加熱調理」
48℃以下を目安に調理し、熱に弱い酵素や栄養素を守ります。体内の酵素を消化に使いすぎない、という考え方に基づいています。食材の持つ自然な風味を引き出せるのも魅力です。
2. 食材が持つ生命力
野菜や果物、スプラウト(発芽食材)は、収穫後もしばらく「生きている」食材です。スムージーやコールドプレスジュース、マリネ、サラダなどは、その生命力をダイレクトに感じられる代表的なメニューです。

3. 発酵との調和
リビングフードと発酵は、どちらも「微生物の力を生かす」という共通点を持っています。生きたままの麹や発酵調味料を組み合わせることで、旨味や香りが広がり、より深みのある味わいに。発酵食品に含まれる酵母や乳酸菌も、リビングフードの世界では大切な「生きたパートナー」です。
4. 見た目の美しさと、五感の満足
リビングフードは、食べるだけでなく「見る」「香る」「触れる」ことも大切にしています。自然の色が持つ力や、カットした断面の美しさは、まさに「食べるアート」。美しいものを食べる時間そのものが、豊かさだと考えています。
リビングフードのメリット
素材の力をなるべく損なわずに食べる、「食べながら整う」という感覚を大切にするライフスタイルフードです。
- 酵素を生かす:生の食材には食物酵素が含まれています。生の食材を選ぶことは、体内の酵素を使いすぎない食べ方でもあります。
- 抗酸化成分を、加熱で失わずに摂る:ビタミンC・E、ポリフェノール、カロテノイドなどの抗酸化成分は、加熱に弱いものが多いことで知られています。生のまま食べる意味は、そこにあります。
- 菌と食物繊維を、いっしょに:リビングフードには、植物性乳酸菌・発酵食材・食物繊維が多く含まれます。免疫細胞の多くは腸に集まっていると言われ、腸は「第二の脳」とも呼ばれる場所です。
- 血糖の波を、ゆるやかに:精製された糖質は血糖値を急に上げやすいことが知られています。丸ごとの食材は食物繊維と一緒にとることになるため、そのぶんゆるやかです。
- 持続可能でやさしい食文化:動物性食材や過剰なエネルギー消費を抑えることで、地球にもやさしいサステナブルな食のかたちです。
リビングフードの歴史と提唱者
リビングフードの源流は、19世紀のアメリカで広まったナチュラルハイジーン(自然健康法)にあります。「人は自然と調和して生きることで、本来の健康を保てる」という哲学から生まれたこの考え方は、のちに酵素栄養学やローフードへと発展していきました。
その思想を実践的な食事法として体系化したのが、アン・ウィグモア(Ann Wigmore)です。小麦の若葉であるウィートグラスや、発芽させたスプラウトの生命力に注目し、ボストンにヒポクラテス・ヘルス研究所(Hippocrates Health Institute)を設立。「リビングフード」という言葉とともに、その食べ方を世界に広めました。
同じ時代には、エドワード・ハウエル医師が「食べ物に含まれる酵素が、私たちの消化と代謝を支えている」とする酵素栄養学を唱え、リビングフードの理論的な支えとなりました。
現在では、アン・ウィグモアの教えを受け継いだ人たちが世界各地でその思想を伝え、ナチュラルハイジーン → ローフード → リビングフードへとつながる食文化として広がっています。
ナチュラルハイジーン・ローフードとの関係
リビングフードをより深く理解するために、その根底にあるナチュラルハイジーンとローフードとの関係を整理しておきましょう。それぞれの食の哲学はつながりながらも、少しずつ目的やアプローチが異なります。
ナチュラルハイジーンとは
基本理念は、「自然の法則に従い、体に備わった力を生かす」というもの。食べ物だけでなく、睡眠・運動・呼吸・日光・水・感情といった、ライフスタイル全体を整えることを重視しています。食事法としては、次のような特徴があります。
- 加熱しない、自然のままの食材を中心にする
- 動物性食品や加工食品を避ける
- 食べ合わせ(フードコンバイニング)を重視する
- 体が求めるシンプルな味を大切にする
オイルよりもアボカドやナッツなど「そのままの食材」をすすめ、自然界の姿に近い食べ方こそが、体の調和を保つと考えます。
ローフードとの違い
ローフードは、ナチュラルハイジーンの食の思想をベースに、「食材の酵素を壊さないよう、48℃以下で調理する」という実践的な食スタイルです。酵素やビタミンを保つという栄養学の視点が加わり、スムージーやロースイーツ、発酵との組み合わせなど、料理としてのアレンジへと発展しました。
リビングフードの位置づけ
リビングフードは、ナチュラルハイジーンの「自然と調和する生き方」と、ローフードの「栄養学的なアプローチ」の両方を含んだ、実践的な食文化です。生の野菜や果物に加え、日本の発酵文化(味噌・麹・醤油・漬物など)を取り入れることで、より身近で続けやすいスタイルへと進化しています。
3つの食の関係まとめ
ナチュラルハイジーン | ローフード | リビングフード | |
|---|---|---|---|
生まれ | 19世紀のアメリカ | ナチュラルハイジーンから発展 | ローフードに発酵・発芽を重ねて発展 |
大切にすること | 自然と調和する生き方 | 酵素と栄養を壊さない調理 | 生きた食材と、生きた菌をとる |
食べ方 | 自然のままの食材・食べ合わせ | 48℃以下の低温調理 | 生の食材+発酵食品・スプラウト |
範囲 | 食・睡眠・運動などの生活全体 | 食事法・調理法 | 食文化・ライフスタイル |
リビングフードの実践法
基本は、「できるだけ自然のままの食材を、できるだけ生きた状態でいただく」というシンプルな考え方です。特別な道具や厳しい制限がなくても、今の暮らしに寄り添いながら取り入れられます。

基本の考え方
- 生(Raw)+発酵(Fermented):サラダやスムージーなどの生の食材に、発酵食品を組み合わせます。生の酵素と発酵の菌。どちらも熱に弱いという共通点があります。
- 低温調理(48〜50℃以下):熱に弱い酵素やビタミンを守るため、加熱は最低限に。温かいスープや軽い蒸し野菜も、酵素を壊さない範囲で取り入れます。
- 自然の味を生かす:白砂糖・精製塩ではなく、メープルシロップ・自然塩・レモンなどを使い、素材の甘み・酸味・旨みを引き出します。
1日の取り入れ方のヒント
- 朝:スムージーやフルーツでスタート。
- 昼:サラダボウルや発芽玄米など、エネルギーを満たす一皿を。
- 夜:発酵食品や温かいスープを合わせて、ゆったりと。
- 間食:ロースイーツやドライフルーツ、ナッツを少量。
無理なく続けるためのコツ
- 完璧を目指さない:1日のうち「1食だけリビングフード」にするだけでも十分です。
- 旬と土地のものを選ぶ:輸入食材だけに頼らず、日本の季節の食材や発酵文化を取り入れると続けやすくなります。
- 体調に耳を傾ける:体が冷えやすいときは、温かいスープやハーブティーを組み合わせてバランスを取ります。
安藤千英が提唱する「シン・リビングフード」
「シン・リビングフード」は、&LAB TOKYO 代表の安藤千英が提唱する食べ方です。ローフードやロースイーツに10年向き合ってたどり着いたのは、「どれほど体によくても、続かなければ意味がない」という、シンプルな答えでした。そこで、生の食材に、白味噌・塩麹・甘酒といった日本の発酵を重ねる食べ方を、「シン・リビングフード」と名づけました。
R(Raw=生)+ Lα(日本の発酵)= シン・リビングフード
「シン」には、3つの意味を込めています。
- Synergy(相乗):素材どうしが、力を高め合う
- Symbiosis(共生):菌と、そして自然と共に生きる
- Synbiotics(菌+餌):発酵食で「菌」を、食物繊維でその「餌」を、一緒にとる
そして、「真(本来の)」リビングフードへ立ち返る。その願いも込めています。
リビングフードを学ぶ
リビングフードは、単なる食事法ではなく、「自分と自然が調和する生き方」です。旬の野菜や果物から自然のエネルギーを取り入れ、素材そのものの香りや色、生命力を感じながら料理することで、心も体も整っていきます。
リビングフードの考え方や実践方法は、著書『&RAW LIVING Step1 ─ ローフードの教科書』で詳しく紹介しています。ローフードの理論を基礎に、リビングフードの実践をさらに深めたい方には、ローフードマイスター講座や発酵プランナー講座もおすすめです。
- 『&RAW LIVING Step1 ─ ローフードの教科書』
- ローフードマイスター講座:生の食材の扱いと、ローフードの理論を基礎から
- 発酵プランナー講座:麹のしくみから、発酵調味料づくりまで
- ロースイーツマイスター認定講座:白味噌や甘酒など、発酵を重ねるロースイーツも













