ローフードとは、生の野菜や果物、ナッツ、発酵食品を中心に、48℃前後以下で食材の酵素や栄養を生かす食事法です。考え方、含まれる栄養、始め方と注意点、発酵との組み合わせ、学び方まで &LAB TOKYO が解説します。
ローフードとは?
ローフード(Raw Food)とは、生の野菜や果物、ナッツ、発酵食品などの「加熱しない食材」を中心に、食材に含まれる酵素や栄養をできるだけ生かしていただく食事法です。「Raw=生の」「Food=食べ物」という言葉のとおり、48〜50℃以下の低温で調理するのが特徴です。
ローフードは「制限」ではなく「選択」の食事。特別なダイエット法ではなく、消化に負担をかけにくい食べ方を取り入れ、食べ方そのものを見直すライフスタイルとして世界中で実践されています。欧米では「リビングフード(Living Food)」とも呼ばれ、「食べること=生きる力を取り戻すこと」として、健康や美容、メンタルケアの分野でも注目されています。

&LAB TOKYO では、ローフードを単なる生食としてではなく、発酵や日本の食文化と組み合わせた「リビングフード」の入口としてお伝えしています。
ローフードの調理温度帯と酵素の働き|栄養を守る科学
ローフードで48〜50℃以下の低温調理が基本とされるのは、食材に含まれる酵素(エンザイム)をできるだけ壊さずに残すためです。
酵素は、体の中で消化・吸収・代謝など、生命活動を支える働きをする「触媒」のような存在です。食材そのものにも「食物酵素」が含まれていますが、酵素は熱にとてもデリケートで、一般的に48〜50℃を超えると構造が変わって働きを失う(失活する)といわれています。
ただし、「48℃を超えたらすべて壊れる」わけではありません。酵素の種類によって安定性や働く温度域は異なり、果物に含まれる酵素の中には、50℃近くでも働きを保つものがあります。ローフードの目的は温度を守ることそのものではなく、素材の力を生かすことなのです。
また、加熱を抑えることで、ビタミンC・ポリフェノール・ファイトケミカルなど、熱に弱い抗酸化成分も壊れにくくなります。
ローフードの栄養|ビタミン・ミネラル・抗酸化成分
ローフードの魅力は、栄養を「壊さず」「生かす」ことにあります。一般的な加熱調理では、ビタミンや酵素が熱によって失われてしまうことがありますが、食材を生のまま、または低温で調理するローフードでは、熱に弱い栄養素をそのままの形で取り入れやすくなります。
- ビタミン:ビタミンCや葉酸は熱に弱く、調理中に壊れやすい栄養素です。
- ミネラル:水に溶けやすく、茹でこぼすと流れ出てしまうことがあります。
- 酵素:48℃以下で調理すれば、食材の酵素を生かしたままいただけます。
- 食物繊維:不溶性・水溶性、さまざまな食物繊維をバランスよくとりやすくなります。
- ファイトケミカル:植物が持つ色・香り・苦味などの成分。ポリフェノール、カロテノイド、イソチオシアネート類などがあり、加熱すると一部が壊れたり、揮発したりします。

加熱とローフードの栄養比較
ローフードは「加熱していないから、なんとなく良さそう」という印象だけで語られがちですが、栄養の視点から見ると、理にかなった食べ方です。一方で、加熱にも良いところがあります。6つの視点で比べてみましょう。
栄養の視点 | ローフード(生) | 加熱した食事 |
|---|---|---|
ビタミン | 熱に弱いビタミンC・葉酸などを、そのままとりやすい | 加熱や茹でこぼしで、一部が失われやすい |
ミネラル | 水に流れ出さず、残りやすい | 茹でると、水に溶け出しやすい |
酵素 | 48℃以下なら、働きを保ったままとれる | 加熱によって働きを失う |
食物繊維 | さまざまな種類を、多様にとりやすい | やわらかくなり、かさが減って量を食べやすい |
ファイトケミカル | 色や香りの成分が、そのまま残る | 一部が減ったり、揮発したりしやすい |
消化 | よく噛まないと、消化に負担がかかる | たんぱく質がやわらかくなり、消化されやすい |
トマトのリコピンやにんじんのβカロテンのように、油と一緒に加熱したほうが体に取り込まれやすい成分もあります。大切なのは、どちらか一方に決めることではなく、生と加熱、そして発酵を上手に組み合わせることです。そして、ローフードでも加熱した食事でも、消化を助ける鍵はよく噛むこと。ひと口ずつ、ていねいに味わいましょう。
生のまま食べると、何が残るのか
ローフードでは、次のような成分をそのままの形で取り入れやすくなります。
- 抗酸化成分:ビタミンC・E、ポリフェノールなど。いずれも加熱で失われやすい成分です。
- ミネラルとビタミンB群:マグネシウムやビタミンB群、食物酵素を、そのままの形で取り入れやすくなります。
- 食物繊維:「腸活」という言葉で親しまれている食べ方です。食物繊維と発酵食品を、自然と一緒にとることになります。
- トリプトファン・鉄:トリプトファンはセロトニンの材料として知られるアミノ酸。鉄やマグネシウムとともに、女性に不足しやすいといわれる栄養素です。
- 未精製の食材:精製された糖質は血糖値を急に上げやすいことが知られています。丸ごとの食材は、食物繊維と一緒にとることになります。
- 皮膚や粘膜の健康維持に関わるとされるビタミン・ミネラル:ビタミンA・C、亜鉛・銅。いずれも加熱や水にさらすことで失われやすい栄養素です。
実践のコツ|始め方と注意点
ローフードは、特別な道具や高価な食材がなくても、少しずつ始められる食事法です。
まずはここから
- 朝食を、スムージーやフルーツに置き換える
- 1日1食を、サラダボウルにする
- おやつを、ナッツやドライフルーツ、ロースイーツにする
- いつもの食事に、生の野菜と発酵食品を一品足す

最初の一杯に:はじめてのスムージー(小松菜とバナナ)のレシピ
気をつけたいこと
- 冷え:「加熱しない=体を冷やす」ではありません。季節や体調に合わせて、温かいスープや発酵食品、スパイスを組み合わせます。
- 不足しやすい栄養素:植物性の食材が中心になるため、ビタミンB12や亜鉛などは意識して補います。生野菜だけに偏らず、ナッツ・種子・豆・発酵食品を組み合わせて、たんぱく質や脂質もとりましょう。
- よく噛む:生の食材は、よく噛むほど消化の負担が軽くなります。
- 衛生:加熱しないぶん、食材はよく洗い、作ったものは早めに食べきります。
ローフードの本質は、体の声を聴きながら選ぶこと。一時的なブームではなく、ライフスタイルとして続けていくことで、心と体の調和を感じやすくなります。
より体系的に学びたい方には、医師監修の理論と実践レシピをまとめた『&RAW LIVING Step1 ─ ローフードの教科書』と、基礎から応用まで資格取得を通して実践力を身につけられるローフードマイスター講座がおすすめです。どちらも「理論 × 実践」で、日常の食卓に落とし込む力を育てます。
ローフードの起源|ナチュラルハイジーンという考え方
ローフードのルーツは、19世紀のアメリカで広まったナチュラルハイジーン(Natural Hygiene)という自然健康学の哲学にあります。「人間の体は本来、自ら健康を保つ力を持っている」という考えに基づいたライフスタイル理論で、Natural(自然な)+Hygiene(健康を維持する科学)という言葉のとおり、食事・睡眠・運動・心のあり方までを包括的に整える健康哲学として発展しました。中でも「食べ物の組み合わせ」「食べる順番」「消化にかかる時間」を重視し、消化の負担を減らす食事法として生まれたのが、ローフードの原点です。
19世紀末から20世紀初頭には、スイスの医師マクシミリアン・ビルヒャー=ベンナーが、生の果物や野菜に注目し、すりおろした生のりんごを使った「ミューズリー」を患者の食事に取り入れました。そして1917年には、ロサンゼルスにアメリカ初のローフードレストラン「The Eutropheon」が開店します。当時のローフードは、単なる健康食ではなく、自然とつながるライフスタイルの思想として広がっていきました。
&LAB TOKYO 代表の安藤千英がローフードに惹かれたのは、アメリカのシェフ、マシュー・ケニー氏の料理に出会ったことがきっかけでした。フランス料理の技術と芸術性をベースに、植物性の素材だけで創り出されるひと皿ひと皿に、「生命」がありました。
つまりローフードとは、単なる「生の食事法」ではなく、自然と調和しながら、体の仕組みに沿って食べるという思想から生まれたものなのです。
酵素栄養学とローフード|体の仕組みを理解する食べ方
ローフードの理論には、アメリカの医師エドワード・ハウエルが唱えた酵素栄養学(Enzyme Nutrition)という考え方も深く関わっています。人の体にはもともと、消化酵素や代謝酵素といった「体内酵素」があります。一方、生の野菜や果物、発酵食品には「食物酵素」が含まれていて、加熱していない食材にはそれがそのまま残っています。
酵素栄養学では、「体内の酵素を浪費せず、食物から酵素を補う」という考え方を大切にしています。これが、ローフードの基本的な発想につながっています。ローフードは単なるダイエット法ではなく、体の仕組みを理解したうえで「エネルギーの使い方」を考える食べ方なのです。
ローフードが注目される理由|科学・美容・環境の3軸から
1. 世界で研究が進んでいる
生の野菜や果物に含まれる抗酸化成分(ポリフェノール・カロテノイドなど)が、加熱によって失われやすいことは、研究でも示されています。また、腸内細菌のエサになる食物繊維も多く含まれます。ローフードは「腸活」をはじめとする、食と健康への関心の高まりとともに広がってきました。
2. 美容・ウェルネスの視点
ビタミンC・E、ミネラル、食物酵素などを損ねずに摂れることから、皮膚や粘膜の健康維持に関わるとされるビタミンやミネラルを、そのままの形で取り入れられる食べ方として注目されています。海外のモデルや俳優がローフードを取り入れていることも、広まったきっかけのひとつです。
3. 環境とサステナブルな食
加熱や加工を最小限にすることでエネルギー消費を抑えられるローフードは、サステナブルな食事法としても注目されています。植物性の食材を中心にした食スタイルは、ヴィーガンやベジタリアンの文化とも相性がよく、「健康 × 環境 × 美」を両立する新しいライフスタイルとして広がっています。
心と体、そして地球の調和を目指す「未来の食文化」として、ローフードは今、再び注目を集めています。
日本におけるローフードブーム|発酵文化との融合
日本では、2000年代後半からローフードが少しずつ広まり始めました。
時期 | 主なできごと |
|---|---|
2009年〜2015年 | ナチュラルハイジーンや酵素栄養学が紹介され、ローフードへの関心が高まる。日本リビングビューティー協会(JLBA)が設立され、「ローフードマイスター資格講座」がスタート。 |
2016年〜2020年 | まだ「ローフード」という言葉は一般的ではなく、一部の料理家や専門家の間で実践されていた時期。2016年、料理家・安藤千英がロサンゼルスで世界的ローフードシェフのマシュー・ケニー氏と対談。SNSや雑誌で「ロースイーツ」「ギルトフリー」という言葉とともに紹介され、スイーツから入るローフードというスタイルが定着し始める。 |
2020年〜現在 | コロナ禍をきっかけに「体を整える食事」への関心が高まり、発酵ブームと重なってローフード × 発酵が再注目される。2020年には「トレンド料理ワード大賞」でロースイーツがランクイン。2023年には麻布台ヒルズにローフードレストランがオープン。プラントベース・サステナブル・発酵と融合し、より柔軟で現実的なライフスタイルへと進化している。 |
ヘルシーブームの変遷とローフード
ここ10年ほどのヘルシーブームを振り返ると、その多くにローフードの考え方が息づいています。
時期 | ブーム | ローフードとの関係 |
|---|---|---|
2010年代半ば(2015年頃) | スムージーボウル/第1次アサイーボウルブーム | 生の野菜や果物を丸ごと摂るスタイルが定着。見た目の華やかさ(SNS映え)とともに、ローフードが「おしゃれでおいしい健康習慣」として一気に知られるようになりました。 |
2010年代後半 | コールドプレスジュースの登場 | 摩擦熱をかけずに搾り、熱に弱い栄養素を守る製法が注目され、「加熱しないで栄養を摂る」というローフードの考え方が、より本格的に広まりました。 |
2020年代前半(コロナ禍) | ファスティング(断食)ブームと、コールドプレスの再注目 | ステイホーム中に、体重管理や食生活を見直す習慣としてファスティングが急増。準備食・回復食や、断食中に取り入れるものとして、コールドプレスジュースや発酵ドリンク(酵素ドリンク)が選ばれるようになりました。 |
現在(2020年代中盤) | アサイーボウル/スムージーボウルの再ブレイク | 一過性のブームではなく、甘酒・麹・味噌など日本の伝統的な発酵食品と組み合わせる、「腸活」を意識した、続けられるローフードライフへと進化しています。 |
アサイーボウルも、コールドプレスジュースも、ファスティングも。かたちは変わっても、その根底にあるのは、「加熱しないことで素材の栄養を生かし、食べ方そのものを見直す」というローフードの考え方です。
だからこそ、流行を自己流で追いかけるより、ローフードや発酵の正しい知識を身につけることで、自分の体に合わせて、安心して続けられるようになります。

海外のローフードが「生の食材を中心にした食文化」であるのに対し、日本のローフードは、発酵・微生物・季節の知恵を融合させたスタイルへと発展しました。味噌・麹・ぬか漬け・醤油など「生きた発酵食」が身近にある日本だからこそ、ローフードは「体の声を聴くための食文化」として広がりつつあります。
&LAB TOKYO では、ローフードと発酵の両軸から、栄養を生かし、微生物と共に生きる食の未来を提案しています。
ローフードをもっと知る!おすすめの書籍
『&RAW LIVING Step1 ─ ローフードの教科書』
医師監修によるエビデンスと理論、レシピで始めるローフード入門書。栄養学・酵素・腸内環境など、科学的な視点で「生きた食」を学べます。
『フィット・フォー・ライフ』
ナチュラルハイジーンの基本を学べる名著。全世界で1,200万部以上を売り上げた健康・栄養学のベストセラーで、食べ合わせやローフードなど、現代の健康に関する多くのキーワードに影響を与えました。
『チャイナ・スタディ』
科学的な視点から栄養学を学ぶ一冊。「疫学研究のグランプリ」とニューヨーク・タイムズが評した、史上最大規模の栄養調査研究「チャイナ・プロジェクト」をもとに、食と健康の関係を根拠に基づいて解き明かした名著です。
海外の書籍
- 『Raw Food Real World』(マシュー・ケニー、サーマ・メルンガイリス著)
- 『Everyday Raw Detox』(メレディス・ベアード著)
- 『Becoming Raw』(ブレンダ・デイヴィス、ヴェサント・メリーナ著)
Q&A|よくある質問
Q. ローフードは加熱NGなのですか?
A. 完全に加熱NGというわけではありません。酵素を生かすために、おおよそ50℃以下の調理が基本とされています。低温で温めたり、ディハイドレーター(食品乾燥機)を使ったりすることで、冷たくないローフードも楽しめます。
Q. 冬でもローフードは食べられますか?
A. もちろん食べられます。冬は温かいスープや発酵食品、スパイスを上手に取り入れて、体を冷やさない工夫をするのがおすすめです。「ローフード=冷たい食事」ではありません。
Q. ローフード=生野菜だけですか?
A. いいえ。&LAB TOKYO では、100%ローフードにこだわるのではなく、発酵食品・スプラウト・温かい料理を組み合わせる「リビングフード」の食べ方をおすすめしています。生野菜に加えて、スープ・発酵食品・フルーツ・ナッツなどを組み合わせることで、無理なく続けられます。
Q. ナッツは生のまま使うのですか?
A. ローフードでは、ローストしていない生のナッツを、水に浸けてから使うのが基本です。浸水の時間の目安とやり方は、こちらで詳しく紹介しています。
Q. ローフードについて学ぶことはできますか?
A. はい、学べます。日本リビングビューティー協会(JLBA)のローフードマイスター資格は、ローフードの基礎から応用までを体系的に学べる資格制度です。初めての方から受講できます。
ローフードを学ぶ
ローフードマイスター資格取得講座
&LAB TOKYO では、日本リビングビューティー協会(JLBA)認定のローフードマイスター養成講座を開講しています。2級・準1級・1級の3つのステップで、各級とも1日集中の実習形式。東京・神宮前での対面と、オンラインのどちらでも受講できます。
ステップ | 学ぶこと |
|---|---|
ローフードマイスター2級 | ローフードの基本となる考え方と調理技術を、スムージー、サラダ、スープ、メイン、スイーツまで、14+αの料理の実習を通して身につけます。 |
ローフードマイスター準1級 | 栄養学・酵素栄養学も学びながら、基本のレシピをさらに広げ、続けられる形にしていきます。簡単なロースイーツへの展開も。 |
ローフードマイスター1級 | 検定試験の対策つき。プロ用マシンの使用体験、モニター記録の課題、コースディナーの構成まで取り組み、ローフードを人に伝える側に立つ土台をつくります。 |










