昨日、&LAB TOKYOの東京スタジオに、インドから素敵なゲストがお越しくださいました。
食品の香りと素材を専門とするフレーバリスト(調香師・味覚専門家)であり、バイオテクノロジスト(生物工学者)の方。これまで味噌づくりも麹づくりも経験したことがない、完全な「麹初心者」さんです。
しかし、事前にお送りいただいたリクエストと質問リストは、まさにプロの科学者そのものでした。

- 丸大豆や大豆粉、バスマティ米をはじめとする様々なお米の可能性
- とうもろこし、大麦、えんどう豆、落花生、ダール(ウラド/ムング/マスール/チャナ)、フォックステイルミレット(アワ)などの雑穀・豆類への応用
- 「持参する組成データを元に、味噌や発酵にどう影響するか一緒に議論したい」
- 微生物学、酵素学、官能評価などの技術的・論理的なアプローチ
「原理と実技の両方を学び、帰国後にインドで自分自身で再現できるところまでマスターしたい」という情熱に応えるため、私も気合を入れて準備を進めました。
通常テキストおよそ100ページに加え、今回は+15ページのオーダーメイド資料でお出迎え
&LAB TOKYOでは、あらかじめ知りたいことや検証したい内容をリストにしていただいた場合、その方のバックグラウンドに合わせたオーダーメイドのレッスン設計を行っています。
今回は、通常お渡ししているおよそ100ページの英語版テキスト『UMAMI & KOJI LAB』に加え、事前のご質問や持ち込みデータに対応できるよう、新しく調べ上げ構築した15ページの専用ワークブック(『From Grain to Umami』)を特別に制作してお渡ししました。
テキストを開いた瞬間、ゲストの目が輝いたのがとても印象的でした。

グローバルなチームと挑む「麹の科学」
私の英語は、挨拶や日常会話程度のシンプルなものです。今回はアメリカ出身のスタッフに英語のサポートに入ってもらい、日頃から一緒に発酵を勉強しているスタッフも参加してくれました。
発酵に関する専門用語や微生物の複雑なニュアンスも、チームの連携によって的確に通訳され、ゲストの理解度がどんどん深まっていくのが手応えとして伝わってきます。
- その場でお米へ麹の種付け(種麹の手ほどき)
- 甘麹づくりと、数種類の麹の食べ比べ
- 顕微鏡で覗く「麹の花(菌糸・胞子)」の観察
- 持ち込まれたインドの豆類での麹づくり、納豆づくりの可能性についてのディスカッション

「インドの多様な豆類や米を使って、どう独自の発酵文化をひらいていくか」。熱心にメモを執りながら問いを重ねる姿に、私たちの熱量も上がります。
発酵アルケミストクラスで作るさまざまな発酵調味料は、塩麹甘麹だけではなく例えば玉ねぎやニンニクを入れたものや、調合したカレースパイスなどを入れたものがあり、その発想は和食にとどまらず世界の料理に対応できるため、麹の可能性を広げてくれるものになります。
ちなみに通常の UMAMI & KOJI LAB には味噌づくりは含まれませんが、今回は事前の強いご要望があったため、特別に味噌作りのメカニズムと実践レクチャーも組み込みました。
味噌にしても、私がクラスで作っているカカオ味噌は特に気に入ってくれました。
さらに趣味で作っている変わり味噌の発想には、今回のゲストに限らずこの講座の際に試食をしていただくのですがみなさん感動して作ってみたいとおっしゃいます。
このレッスンに参加される方は本当に探究心があって、言葉を超えた何か熱いもので繋がっている感じがします。
手仕事と科学が交差する、国境を越えた発酵の可能性
数種類の麹の食べ比べや、顕微鏡越しのミクロの世界に感動していただき、最後には手づくり醤油キットや米麹、醤(ひしお)麹、種麹、特製すし酢などのお土産とテキストを抱えて、笑顔で帰路につかれました。

国や文化、言葉は違っても、「食を科学し、美味しさを探求する」という情熱は世界共通です。
日本の伝統的な「麹」という発酵の錬金術が、インドの豊かな穀物やスパイス文化と出会ったとき、どんな新しいおいしさが生まれるのか。今から楽しみでなりません。

発酵をもっと深く知りたい方、ご自身の専門分野や国・地域の素材と掛け合わせてみたい方は、ぜひ事前に知りたいテーマを教えてくださいね。東京のキッチンで、世界中の発酵を愛する皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
UMAMI & KOJI LAB のご案内
この日のレッスンは、&LAB TOKYO の UMAMI & KOJI LAB です。お米への麹の種付けから、甘麹づくり、数種類の麹の食べ比べ、顕微鏡での観察まで、約4時間かけて麹と旨みをひととおり体験していただきます。1〜4名のプライベート形式で、英語のサポートが入ります(ご案内のページは英語です)。シグネチャーランチと、麹や手づくり醤油キット、英語のテキストをお持ち帰りいただけます。
今回のように、事前のご質問や持ち込みの素材に合わせた特別プランをご希望の場合は、遅くとも2週間前までにリクエストをお送りください。資料をあらたに作り、素材をそろえるのに時間がかかるためです。通常のご予約は、麹を前もって仕込む都合で4日前まで承っています。
ご相談はお問い合わせから。事前に知りたいテーマや、扱ってみたい素材を書き添えていただけると、当日の時間をより深く使えます。
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