梅仕事もひと段落。故郷の福岡では、枇杷の収穫も最盛期を迎えているようです。
枇杷だらけの環境で育って
実は私の実家には枇杷の畑があり、両親が長年育てています。子供の頃からそんな枇杷だらけの環境で育ったせいか、今でも枇杷の実そのものはちょっと苦手なんです(笑)。それでも、母や父が作る葉茶やチンキ、湿布には、なぜか昔からずっと親しんできました。
今から30年ほど前、母がこんなことを言っていました。
「枇杷は、葉っぱも実も種も全部薬になるから、捨てるところがない」
母は枇杷の葉茶やチンキ、湿布などをよく作っていて、今も実家に行くとそれらが使われています。両親がどこでそうした知恵を学んだのかは定かではありませんが、おそらく昔の人々の知恵を受け継いでいるのでしょう。私はのちに、東城百合子さんの著書でそのことを知りました。
実家の山には、昔から暮らしの中で使われてきた植物がいろいろとあります。子供の頃はまったく興味がなかったのですが、両親に尋ねるようになったある頃から、私もその魅力に少しずつ惹かれていきました。
仏教における枇杷
仏教の古い経典『涅槃経(ねはんぎょう)』では、枇杷の木は「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」、枇杷の葉は「無憂扇(むゆうせん)」と呼ばれています。昔の人々は枇杷をとても大切にしていて、お寺の境内などにもよく植えられていたそうです。
母の「捨てるところがない」という言葉は、こうした古くからの教えが脈々と受け継がれてきたものだったのだと、今になって思います。
この「自然の植物を丸ごといただく」という考え方は、私が今お伝えしているローフードやリビングフードの哲学と深く通じています。
古代ギリシャの医師・ヒポクラテスの言葉として、こんな一節が伝えられています。
「汝の食事を薬とし、汝の薬を食事とせよ」
「自然こそが最良の癒し手である」
毎日の食卓を大切にすることが、暮らしの土台になる。昔から、そう考えられてきたのだと思います。
枇杷を「ロー(生のまま)」で楽しむ

実はこの考え方は、次の書籍のテーマである「シンリビングフード」という私の方程式にも当てはまります。
枇杷には、β-カロテンやβ-クリプトキサンチン、カリウムなどが含まれています。生のまま食べられて、加熱で変わりやすい成分もそのまま受け取れる。シンリビングフードの考え方にもふさわしいフルーツです。
太陽を浴びて熟した枇杷を、ぜひ生のまま、五感で味わってみてください。旬のものを旬のうちにいただく。それが夏の入口の楽しみです。
枇杷の「種」について
実を美味しくいただいた後の種を、焼酎に漬けたり粉末にしたりして活用する方法も、昔から伝えられているようです。ただ、種に含まれるアミグダリンという成分は、体内で分解されると微量のシアン化合物を生じることがわかっているため、私自身は食べることをおすすめしていません。あくまで「種まで大切にする」という、暮らしの知恵としてご紹介します。
種から作るチンキについても、一つだけお伝えしておきたいことがあります。チンキは肌に直接つけて使うものでもあるため、すべての方の肌に合うとは言い切れません。実際、我が家でも娘が肌荒れしていたところに(母に勧められて)枇杷の種のチンキを塗ったところ、赤くヒリヒリしてしまったことがありました。

自然のものだから安心、というわけではなく、体質や肌の状態によって合う・合わないがあるということは、ぜひ知っておいていただきたいなと思います。
枇杷の葉茶のこと
漢方には「潤肺(じゅんぱい)」という考え方があり、枇杷の葉は古くからその文脈で使われてきました。葉を洗って乾燥させ、お茶としていただくのもおすすめです。枇杷の葉は、今のような夏の時期よりも、夏を過ぎた頃のものの方が良いとも言われています。
書籍『&RAW LIVING Step1』をお持ちの方へ
本に沿ってスムージーやサラダのレシピを作れる、購入者限定の特典アプリがあります(電子書籍は対象外)。本の裏表紙のバーコードの番号で、特典ページに入れます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ この記事は、2026年6月にニュースレター(vol.03)でお届けした内容を、JOURNAL 用にまとめ直したものです。
つづけて読む