「スムージーって、実は体に悪いんですか?」
ここ最近、レッスンやメッセージで、こんな質問をいただくことが増えました。
先日も、生徒さんからこんな話がありました。「有名なモデルさんが新しい本の中で、"ずっと朝はスムージーを飲んでいたけれど、それをやめました"と書いていて…。スムージーって、やっぱり良くないんでしょうか?」
一方で、SNSや本では「スムージーは美容と健康にいい」という情報もたくさんあります。良いと言う人もいれば、悪いと言う人もいる。何を信じたらいいのか、迷ってしまいますよね。
ローフードやスムージーのレッスンをお伝えしている立場として、私自身、このテーマからは逃げずに、きちんと向き合いたいと思いました。
今回は、PIVOT 公式チャンネルの動画「肝臓を壊す最大の毒」で肝臓専門医の先生が話していた内容を元に、
- オレンジジュースは本当に危険なのか
- 「スムージーは体に悪い」という言葉のどこまでが本当なのか
- ローフードのスムージーを、どうアップデートすれば安心して続けられるのか
を、私なりの言葉で整理していきます。
なお、同じテーマについて、ドイツ連邦リスク評価研究所の公式見解から書いた記事もあります。あわせてどうぞ。
→ 【保存版】スムージーは寿命を縮める⁉︎
私と肝臓の距離感の話
ローフードを学び始めた頃から、わたしの中にはずっと「肝臓」というテーマがありました。30代前半で胆石症になり、胆嚢を全部摘出した経験があるからです。
手術を終えてから、食べたものがどうやって体の中を通っていくのか、ということが急にリアルになりました。それまでは正直、あまり考えたことがなかったのだけれど。
スーパーに行くと、自然とパッケージの「裏側」を読む人になっていきました。原材料表示の小さな文字を、じっと目で追うようになったのです。
ジュースやお菓子、ドレッシング、カップ麺。そのどれにも「果糖ぶどう糖液糖」「異性化糖」という文字がある。これはいったい何なんだろう、と首をかしげながら、なるべく避けるようにしてきました。
最近では、アメリカで大統領がコーラメーカーに「甘味料を高果糖コーンシロップからサトウキビ由来の砂糖へ変えるよう」働きかけた、というニュースも流れていました。それくらい、世界的にも見直しが始まっている甘味料です。
そんな経緯があって、「甘い飲み物」と「肝臓」の関係は、わたしにとってずっと気になっていたテーマ。今回、専門医の話をローフードの視点で整理してみようと思ったのには、こんな背景があります。
そもそも肝臓って、どんな臓器?
動画の中の先生の言葉を、順に見ていきますね。
「肝臓はデトックスの臓器」と言われることがありますが、実際はそれだけではありません。肝臓には、大きく分けて3つの役割があります。
1. 代謝(体の"化学工場")
食べたものは、そのままでは使えない形をしていることがほとんどです。小腸で吸収された栄養は、いったん肝臓に集められ、「体が使いやすい形」に作り替えられてから、全身に送り出されます。これが、いわゆる「代謝」です。
2. 解毒(フィルターとしての働き)
アルコールや薬、添加物など、「このままでは負担になるもの」も、できるだけ無害な形に変えてくれているのが肝臓です。お酒を飲むときだけでなく、甘い飲み物や加工食品をとるときも、その裏側ではいつも肝臓が働いてくれています。
3. 免疫(体の"見えない防衛チーム")
体の中で、菌やウイルスを直接"食べて"処理する細胞の多くが、肝臓に集まっています。「食細胞」「マクロファージ」と呼ばれる免疫細胞のかなりの割合が、肝臓に存在していると言われています。
つまり、肝臓は「栄養の工場」であると同時に、「毒のフィルター」であり、「免疫の基地」でもあります。心臓や腎臓に負けないくらい、体にとって"肝心な"臓器だということが、伝わるでしょうか。
そして肝臓は、再生力の高い臓器としても知られています。動画の中で先生も、習慣を正しい方向に変えれば取り戻せる部分が大きい、と話していました。この「戻せる臓器」という性質は、希望でもあります。
肝臓専門医が断言「甘いドリンク」の真実
"肝臓にとって最大の毒は「甘いドリンク」である"と、動画の中で先生はおっしゃっていました。
ここでいう甘いドリンクとは、
- 果糖ぶどう糖液糖などを含む清涼飲料水
- 果汁飲料、スポーツドリンク、エナジードリンク
- 「健康そう」に見える野菜ジュースや100%ジュースも含めた、"甘い液体"全般
を指します。
ポイントは、「果物そのものが悪い」と言っているのではなく、果糖を、液体で、一度にたくさん、短時間でとる——この組み合わせが、肝臓にとって大きな負担になる、という点です。
これまでわたしは、「血糖値が急激に上がること」を主に気にしてきました。でも今回、肝臓という視点で見直してみると、血糖値の問題よりもさらに手前の段階で、体に影響が起きていたんだということが、改めてわかりました。
同じみかんなのに、どうして違うの?
わかりやすい例が、「みかん」と「オレンジジュース」の話です。同じみかんでも、
- みかんをそのまま3個、ゆっくり食べる
- みかん6〜7個分を絞ったオレンジジュースを、コップ1杯にして1分で飲み干す
この2つは、見た目には「みかんの量が違う」くらいにしか見えません。でも、肝臓から見ると、まったく別の出来事として起こっています。
固形でゆっくり食べる場合
- 一房ずつ皮をむき、噛みながら食べる
- 食物繊維が残っている
- 食べ終わるまでに、それなりの時間がかかる
このとき、果糖は小腸である程度処理されてから、少しずつ体に入っていきます。小腸にいる酵素たちが、果糖をブドウ糖や他の物質に変えてくれるので、肝臓に届く"生の果糖"の量は、それほど多くなりません。
ジュースで一気に飲む場合
- 食物繊維がほとんど取り除かれている
- コップ1杯に6〜7個分の果糖が溶け込んでいる
- 1分もあれば飲めてしまう
このとき、小腸に届く果糖の量とスピードが一気に上がります。酵素の働きが追いつかず、変換しきれなかった果糖が、そのまま肝臓へ流れ込みます。短時間に高濃度の果糖が押し寄せることで、中性脂肪が作られやすくなる——先生の説明は、そういうイメージでした。
同じフルーツでも、「固形か、液体か」「ゆっくりか、一気か」。この違いで、肝臓への負担が大きく変わる。ここが、「スムージーは体に悪い?」という話を考えるときの、大きなポイントになります。
ローフードを取り入れるときの基本
ローフードのレッスンやテキストの中で、実はこのことが書かれています。
- 「よく噛んで食べましょう」
- 「同じものを食べるなら、ゆっくり時間をかけて」
リビングフードの第一人者、松田麻美子先生の著書でも、フルーツモーニングは「急いでかき込む」のではなく、「一房ずつ味わうように」と書かれています。
当時はどちらかというと、「消化の負担を軽くしたい」「満足感を高めたい」という、感覚的な理由が大きかったのですが……肝臓の先生の話を聞いてみて、あ、そっか。ゆっくりとることで、小腸が果糖を処理する時間を稼げるという、医学的な意味があったんだ、ということに気づきました。
これまでお伝えしてきたことに、「肝臓」という視点からの裏づけが一本通ったような感覚があります。だからこそ今回は、ローフードの考え方を壊すのではなく、今の知見を取り入れて、少しアップデートするお話として書いていきたいと思います。
「スムージーは体に悪い?」に、ローフード的に答える
では、本題の質問です。スムージーは、体に悪いのでしょうか?
肝臓の専門医の先生の話を、ローフードの視点で受け取ると、答えはこうなります。
- 「スムージー全部が悪い」わけではない
- 問題になりやすいのは、「甘いフルーツをたっぷり入れたスムージーを、液体として一気飲みする」スタイル
- ケールやトマトなど、甘みの少ない野菜中心のスムージーは、肝臓の負担という意味では大きな問題になりにくい
問題になりやすいパターン
- フルーツ山盛り+少しだけグリーン
- 甘味料やジュースを足して、飲みやすくしたもの
- 朝イチの空腹に、ゴクゴク一気飲み
おすすめしたいパターン
- フルーツは1〜2個分におさえる
- グリーン(葉物野菜)をしっかり入れる
- 水を先に飲んで、10〜15分かけて、噛むようにゆっくり飲む
「スムージー」という同じ名前でも、肝臓側から見える景色がまったく違います。私たちローフードマイスターが提案しているスムージーは、実はまさに後者です。
ローフード的スムージーの5つのルール
ここからは、実際の「ルール」としてまとめてみます。このことは私の書籍『&RAW LIVING Step1 ローフードの教科書』にも書いていますので、ぜひそちらもご覧くださいね。
① フルーツは、そのまま食べるのが基本
- いわゆる「フルーツモーニング」は、まずは"そのまま食べる"を基本に。
- みかんなら、一房ずつ皮をむいて、口いっぱいに詰め込みすぎず、味わいながら。
- 食物繊維と咀嚼が、自然なブレーキになってくれます。
② スムージーにするなら、フルーツ1〜2個分まで
- スムージー1杯の中に、「丸ごとのフルーツで何個分入っているか」を一度数えてみる。
- 3個、4個…と増えているようなら、まずは1〜2個分までを目安に。
- そのぶん、葉物野菜やきゅうり、セロリなどの「甘くない野菜」を増やしていきます。
③ フルーツ少なめ・グリーン多めに
- 最初は「フルーツ多め+色づけ程度のグリーン」でも大丈夫。
- 少しずつ、グリーンの量を増やし、フルーツを減らす方向へ。
- 目安は、フルーツ1:グリーン2〜3。ここを目指していけると理想的です。
④ 甘味を足さない
蜂蜜、メープルシロップ、アガベシロップ、100%フルーツジュース、加糖ヨーグルトやアイス、ドライフルーツの大量投入などは、一気に「高果糖ドリンク」化してしまう要因です。どうしても甘さが欲しいときは、フルーツそのものの量と種類(バナナ1本→バナナ半分+りんご少し、など)で調整してみてください。
⑤ 空腹に一気飲みしない。水を先に、時間をかけて
- スムージーの前に、コップ1杯の水を飲む。
- コップ1杯を、10〜15分くらいかけて、噛むようにゆっくり飲む。
- とろみがあるスムージーなら、スプーンですくって「食べる」くらいの感覚でも。
同じ材料でも、1分で一気飲みするスムージーと、15分かけて味わうスムージーでは、体の受け取り方が変わってきます。
こんなスムージーがあります
材料(2人分)
- りんご(皮ごと・中サイズ):1個
- 小松菜:1株(約60g)
- レモン果汁:大さじ1(フレッシュがおすすめ)
- 水:150〜200ml(好みのとろみに調整)
- おろし生姜:小さじ1/4(好みで)
作り方
- りんごは芯を取り、皮ごとざく切りにする
- 小松菜は根を落とし、よく洗ってざく切りにする
- ブレンダーにすべての材料を入れ、なめらかになるまで撹拌して完成
書籍掲載の Green Glow Smoothie(緑の巡るスムージー)です。りんご1個だけ(フルーツ1個分)、グリーンしっかり(小松菜)、甘味料なし。ここまでのルールを、自然にすべて満たしているレシピです。
ちなみに、こうしたグリーンスムージーは、葉物野菜までしっかり撹拌できるパワーのあるブレンダーで作るのがポイントです。私は教室でも自宅でもクビンスの SPEED Blend を使っていますが、小松菜のような繊維質の野菜でも青臭さが残らず、なめらかに仕上がります。
スムージーの比率のこと、適した野菜と適さない野菜のこと、朝の飲み方のタイミングのことまで、書籍の中にまとめています。
市販のジュースや野菜ジュースとは、どう線を引く?
ローフードやスムージーの話をするときに、もうひとつ大切なのが、「市販の甘い飲み物」との線引きです。
- 果汁飲料(果汁○%と書いてあるもの)
- 濃縮還元100%ジュース
- 野菜ジュース(甘いタイプ)
- スポーツドリンク、エナジードリンク
これらの多くには、果糖ぶどう糖液糖(高果糖コーンシロップ)や、砂糖+濃縮果汁などが組み合わさっています。さらに、濃縮還元の過程で、水分を飛ばしてペースト状にする、加熱処理をする、食物繊維を取り除く、といった工程が入るため、「フルーツそのまま」とは、かなり違う姿になっています。
「絶対飲んではいけない」と言いたいわけではありません。ただ、ローフードの観点と肝臓の観点を合わせて考えるなら、
- のどが渇いたときの"基本"は、水・お茶・ハーブティー・無糖炭酸水
- 市販の甘い飲み物は、「毎日の習慣」ではなく、「たまの楽しみ」
くらいの位置づけにしておくのがおすすめです。
肝臓専門医の「7つの習慣」を、ローフード流に訳してみる
動画の中で先生は、甘い飲み物をやめることに加えて、毎日の習慣をいくつか挙げていました。ローフードの視点から、日常に取り入れやすいように訳してみると、こんな感じになります。
- 毎日、一度は体重を見る
完璧なダイエットではなく、「今どこにいるか」を知るための"体との対話"として。 - 飲み物は、水・お茶・無糖の炭酸水を基本に
ローフード的には、ここにハーブティーも加えたいところです。 - 糖質を"ゼロ"ではなく"半分"に
ご飯・パン・麺・お菓子を、いきなりやめるのではなく、まずは半分に。残りの半分を、野菜・発酵食品・ローフードのおかずで満たしていくイメージです。 - 食物繊維を"いつもの2倍"に
ローフードのサラダやスムージーの出番です。「野菜」ではなく「食物繊維」として意識すると、豆や海藻、ナッツも仲間に入ってきます。 - タンパク質をしっかりと
動画では、痩せ型の脂肪肝の人は筋肉量が少ないケースが多い、という話もありました。プロテインを使う場合も、「甘い液体+糖質たっぷり」のものは避け、食事全体の中でバランスを見ることが大切です。 - 超加工食品を減らす
カップ麺、お惣菜、加工肉、菓子パンなど、「原材料表示が長いもの」を少しずつ減らしていく。ここは、発酵食品とローフードが得意な部分です。 - 1日10分からの筋トレを習慣に
ハードなジム通いでなくても、毎日10分の自重トレーニングから。筋肉は、「糖をためておける場所」を増やしてくれます。
どれも「ゼロか100か」ではなく、今の生活から少しずつシフトしていける内容です。ローフードと発酵の知恵を借りれば、この7つの習慣を、そこまでストイックにならずに続けていけるはずです。
まとめ:フルーツは味方。でも"甘い液体"は別枠で
最後に、この記事で一番伝えたいことを、一言でまとめるとこうなります。
フルーツは味方。ただし、"甘い液体"として一気にとるときだけは、別枠で考えてみる。
ローフードの世界で大切にしてきた、
- 生のものを取り入れること
- 素材に火を入れすぎず、そのままいただくこと
- 食物繊維や発酵食品を、毎日の食事に取り入れること
この軸は、肝臓の専門医の話と、実はとてもよく重なります。そこに、
- 甘いドリンクを「毎日」から「たまに」へ
- フルーツは"そのまま"を基本に、スムージーは少しだけチューニング
- 固形か液体か、ゆっくりか一気か、という視点
を足してあげるだけで、ローフードの良さを残したまま、甘い飲み物との付き合い方を見直していけます。
今日からできる、3つの小さな一歩
最後に、「これならできそう」と思えるところから、3つだけ提案させてください。
- オレンジジュースを買う代わりに、みかんを3個、そのままゆっくり食べてみる。
- 朝のスムージーのフルーツを、いつもの8割くらいに減らして、そのぶんグリーンを増やしてみる。
- のどが渇いたときの1杯目は、水かお茶、または無糖の炭酸水にしてみる。
どれかひとつからで大丈夫です。続けていく中で、「あ、こっちの方が体が楽かもしれない」という感覚が出てきたら、その感覚を大切にしてください。
【さらに深く学びたい方へ】
このエッセイで触れた「肝臓の知識」「スムージーの実践」「ローフード的食習慣の基礎」は、&LAB TOKYO の講座で、理論と実習の両方から学べます。スムージーの比率や、向いている野菜・向いていない野菜のことは、私の書籍『&RAW LIVING Step1 ローフードの教科書』(医学監修つき)にもまとめています。
「ちゃんと学べばわかる」——それが、私のローフード哲学です。
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